哀愁列車 《平成31年3月上旬》 |
月末から月初に掛けて、実に久方振りの長距離遠征(行き帰り合計二千キロメートル程)で津軽巡り。
先月の当ページも月初の作品以来、これと言った撮影もなく過ごしてしまった為、決定に戸惑い月後れ。
依って、今月は初日(三月一日)の撮影作にもかかわらずの“今月の一枚”に早々選出です。 出発前にはこの津軽鉄道への訪問は想定していなかったのですが、青函隧道と青函連絡船の東津軽に光明を見出せず、予備として一応準備していた八戸(三八地域)も案外遠く、そもそも予定とは反対方向で、往復の燃料代も勿体無い。 取り敢えずこの先は五能線沿いに南下して行く予定も、不慣れな土地での暗闇の中、景観観察不能な長距離移動も又勿体無い。 という事情で、その前にお手頃な移動距離のこの長閑な鉄道訪問を決めた次第です。 青森の街に別れを告げ五所川原道へ。 今回の行程では到着前の深夜の東北道・鹿角付近以外は全く積雪無しのカラカラ道です。 アイドリング騒音の道の駅を諦め、近くの五能線・陸奥鶴田駅前で車中泊。 曇り空の翌夜明けに出発、起点の五所川原(この駅前からしてかなり魅力的)から沿線を散策。 辿り着いたのは、ほんの三駅先の津軽飯詰駅。 構内脇、未舗装の雪解けどろどろの道の先の農協林檎倉庫に引き付けられてしまいました。 北海道の馬鈴薯倉庫と並び、密かな興味の対象建築。 駅そのものも何とも哀愁漂う周辺風景です。 線路沿いを更に進むと見覚えのある築堤。 実は以前撮影に赴いた事のある地域でした。 フィルム時代の当時、駅周辺の細かな記憶はあまり無く、如何に視る目が変化してきたかを実感した次第です。 この冬は東北も異常小雪の様で、広大な田園の雪も所々解け切って黒々とした大地が顔を覗かせています。 一帯は渡り鳥の中継地でもある様で、何百羽もの鴨や白鳥が餌をついばんだり飛行訓練をしたりと、南の人間には壮観な風景。 そんな中を鉄路は横切っています。 駅(無人)で頂いた時刻表に依れば、この鉄道お目当てのストーブ列車は日に三往復も。 そもそも普通の気動車でも構わないつもりで訪問も、案外撮り易そう。 微妙に空いた時間に、もう二駅先まで急いで車窓散策したものの、結局は此処が良さそうと一日中留まってしまいました。 その最後の撮影列車がこの作品。 駐車した道路からほんの少し歩いただけの畦からの横着撮影。 晴れとも曇りとも判断付かぬ空模様の一日だったものの、絶妙な背景に恵まれ、まずまず納得の一枚が撮れました。 |